長く愛読しているスパーク個別指導学院の塾長ブログから転載させていただきました。
昔、借金のある人が投獄されることもあった時代に、不幸にも一人のロンドンの商人が金貸しから多額の金を借りていた。
その金貸しは醜く年寄りだったが、商人の十代の娘を気に入った。
そこで金貸しは、娘をくれるなら、代わりに借金を帳消しにしてやろうと取引をもちかけた。その申し出に商人も娘も震え上がった。
ずる賢い金貸しは神様に決めてもらえばいいのではないかと提案した。
金貸しが空っぽの財布に黒い小石と白い小石を一つずつ入れておき、娘はそこから小石を一つ取り出さねばならないと、いうのである。
娘が選んだ小石が黒ならば娘は金貸しの妻となり、商人の借金はなかったことになる。
娘が選んだ小石が白ならば娘は商人のもとに留まり、商人の借金もなかったことになる。
だが、娘が小石を取り出すことを拒めば、商人は投獄され、娘は飢えることになる。
商人はしぶしぶ提案に同意した。
この話をしていたとき、3人は商人の自宅の小石を敷いた庭に立っており、金貸しは屈み込んで小石を二つ拾った。
恐怖で観察力が研ぎ澄まされていた娘は、拾った小石が二つとも黒で金貸しがそのままそれを財布に入れたことに気づいた。
その後金貸しは、運命を決めることになる小石を選ぶよう娘に告げた。
(さて、皆さんが娘の立場だったらどんな行動を取りますか?)
少女は、財布に手を入れて小石を一つ取り出すと、その小石に目をやることもなく、うっかりを装ってそれを小道に落とした。
小石はすぐにほかの小石に紛れ込んで、わからなくなってしまった。
「まあ、私ったらなんてことを」と少女は言った。
「でも大丈夫。財布に中に残っている小石を見れば私が選んだのが黒か白か分かりますもの」
残っている小石の色は言うまでもなく黒なので、少女が選んだ小石の色は、白と推定されなければならない。自分の不正を金貸しが認めるはずがないからだ。
(エドワード・デボノ著「水平思考の世界」より抜粋)
絶体絶命のピンチに追い込まれたかのように見えた商人の娘ですが「自分が選ぶ小石」ではなく、「財布に残る小石」に視点を移すことで、100%勝てる方法を思いついたわけです。
これが、水平思考により「ピンチをチャンスに換える」ということです。
納得です。でも、しかし、そうは言っても・・・難しいですね。
努力して身につけたい力です。
え?人に相談する。ーそれも大切ですね。