今春、大学合格を果たしたMくんがアゴラに挨拶に来てくれました。
1年前、受験した大学は軒並み不合格。実力相応と踏んだ大学もアウトでした。失意の深さは彼以外知る由もありません。平常心を装いながらも重い荷物を背負う孤独な闘いが始まりました。
私は彼の複雑な心境を理解することができませんでした。いわゆる常識のものさしでその振る舞いを批判しつつ、しかし一方では受け止めることのできない自分の狭さとの格闘が始まりました。
容赦なく受験が近づいた晩秋、彼の実際的サポートを第三者に依頼したり、様子を聞いたりしましたが、依然として心のしこりとの精神闘争は続きました。しかし、その苦しみの中で彼のことを祈るワタシもいました。
そうして「ボクも大学生になります」と届いた合格通知。「よく頑張り抜いたね。合格も嬉しいけれど、受験生という危ういフィールドで頑張りぬいたあなたは素晴らしいよ」と祝福しました。
一回り大きく成長したMくん。「もし、昨年どこかに合格していたら、大学に行く意味も誇りも両親や周囲の人たちへの感謝も自覚できなかったと思います。」さらに「ボク、勉強します。入学が楽しみです」ときっぱり。
感謝です。私自身のこだわりやエゴの殻を打ち破る機会をいただきました。
そして、そうした心情を素直に伝えることができました。
まさかこうした場面が用意されていたとは。人生って・・・イイですね。
アノ荷物の重さは何だったのでしょう。すっかりラクになりました。